中古車契約を安全にキャンセルする為の必須知識と契約の仕組み

中古車契約を安全にキャンセルする為の必須知識と契約の仕組み
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中古車購入の契約を交わしたが、やはり他の車が気になる、車の状態で不満なところが出てきたといった理由で、どうしても契約をキャンセルしたい、というケースは少なくありません。

正直なところ、専門家でもない限り、契約の際に契約内容をすべて理解している方はほとんどいないと思います。中古車契約の基本と注意点を知らないままキャンセルを試みると、結果的に丸めこまれたり、損をすることになります。

1日申告が違うだけでキャンセルの可否が変わる場合もあるので、すぐ連絡した方がいいのですが、その前に必ずここに書かれている知識をぜひ覚えておいてください。

前提:中古車契約は「一方的」にはキャンセルできない

前提として、中古車契約が成立している状態では「一方的な」キャンセルは認められません。契約上の解約条件を満たす・または双方の合意が必要になります。

「揉めたらどうしよう…」と怖い気持ちもあるかもしれませんが、メール・電話などでキャンセルしたい旨だけ伝えて、お金を支払わないなどはもっとも危険なケースです。

中古車販売店でもごく稀にあるようですが、最終的には購入者側が法律違反で賠償などを請求されることになります。絶対に避けるようにして、下記お話しする正しいコミュニケーションをとりましょう。

中古車はクーリングオフの対象外

通信販売などでは、「クーリングオフ」という仕組みがあります。これは呼び止められて・訪問などで勧誘されたなどの場合、冷静な判断ができないまま購入した消費者を守るため、一定期間内であれば契約を無効・解約できる仕組みです。
しかし中古車(車)の場合は、吟味して購入するもの・自ら店舗に出向いて購入するものとされ、クーリングオフは適用されません。

次に、そもそも何をもって中古車契約が成立するかをお話しします。

中古車契約が成立する条件

一般社団法人・日本中古自動車販売協会連合会(JU中販連)に加盟入している販売店の場合、「自動車注文書標準約款」で以下のように定められています。

契約の成立条件

  1. 車両の引渡しがされた日(納車日)
  2. 使用者の名義登録が完了した日
  3. 注文者の依頼により修理・改造・架装に着手した日
  4. の3つのうち最も早い日を契約成立日とする

つまり、上記のどれにも達していない場合、契約成立していることにはなりませんのでキャンセルが可能なわけです。

しかし注意しなければならないこととして、例えば3.の「注文者の依頼により修理・改造・架装に着手した日」は、例え契約書にサインをしていなくて、口頭での依頼だとしても厳密には契約成立になります。

注意点:JU中販連に加盟している販売店かどうかを確認する

上記の契約成立条件は、JU中販連に加盟している販売店であれば守らなければならないようになっていますが、加盟店でない場合、独自の契約書があります。上記に該当しない場合でも、契約成立したことになるかもしれません。手元に契約の約款があれば必ず確認してください。

JU中販連に加盟している販売店かどうかは以下の方法で確認できます。

JU中販連会員検索

JU中販連会員検索

ここで、都道府県・市区町村で絞込み、または販売店名の一部でも入れることで加盟店の検索ができます。ここで表示されない場合はJU中販連には加盟しておらず、自動車注文書標準約款のルールには当てはまりません。

これからご紹介するキャンセルの実情を知っておく必要があります。

契約成立後、キャンセルするための必要知識

ここまでの内容で、中古車契約が成立する基本条件と、それに至るまでなら問題なくキャンセルできることはお分かりいただけたと思います。ここからは、契約成立となった後で、キャンセルできる事例・不要な費用を負担しないためのポイントをお伝えします。

契約が成立した場合キャンセルできるかは五分五分

正直なところ、販売店の方針や担当者の裁量によって、キャンセルできるかは五分五分というところです。

  • ※さすがに納車直前になると受け付けられないことがほとんどです。

しかしキャンセルできるケースは確かに存在することと、購入者側に認められた権利を正しく知ることでキャンセルできる可能性が上がります。以下の内容をぜひ参考にしてください。

契約成立後、キャンセルできるケースは主に4つ

キャンセルが公的に認められるケースは主に以下の4つです。これらに当てはまる場合は、契約後のキャンセルも可能です。

(1)不当な情報を元に中古車を購入させられたケース

車両に関する情報を不正に改ざん・または隠されて購入した場合は中古車契約をキャンセルできます。

たとえば、事故車(修復歴車)であることを隠して販売された場合は明らかな販売店の不備となり、キャンセルできる可能性が高いです。

これは、販売店が意図的に情報を隠した場合・販売店も気付いていなかった場合も同様です。
事故車(修復歴車)の定義は「中古車の修復歴のリスクと安全な中古車を見分けるポイント」を参考にしてください。

(2)親の承諾がなく未成年だったケース

中古車販売店に広くヒアリングした際にも、実際にはほとんどないケースとのことですが、未成年の中古車購入で、親の承諾がなかった場合は契約を無効にできます。

(3)契約書に記載してあるキャンセル要件を満たすケース

契約書に明記されているキャンセル要件を満たす場合は、当然キャンセルが可能です。
しかしこの条件には販売店の方針で大きく差があり、結局ここでご紹介する(1)~(4)のどれかと同じであることも多いです。

中古車のニュース記事などをご覧いただくと、「契約書に書かれているキャンセル規定をみてみる」と書いてありますが、JU中販連に加盟していない販売店では契約書にキャンセル要件まで書かれていないことがありえます。

(4)キャンセル料を支払うことでキャンセルできるケース

キャンセルできるケースとしては、これが一番事例が多いと思います。販売店が提示するキャンセル料を支払うまたは申込金をキャンセル料として放棄することで契約キャンセルできるケースです。

しかし、キャンセル料を支払えばキャンセルできるというのは正直に言って契約ではよく見られることです。知りたいのは「キャンセル料を支払わずに済む方法はないのか?」「キャンセル料の相場は?」だと思います。

以下、筆者の見解と調査結果をまとめましたのでご覧ください。

キャンセル料が発生しない5つのケース

上記ご紹介した、公的にキャンセルが認められるケースとも重なりますが、以下の5つのケースではキャンセル料は発生せず、無償で契約キャンセルができます。

(1)クレジット支払いで審査完了する前のキャンセルのケース

クレジットでの支払いで、審査が完了する前・審査結果が出る前のキャンセルであれば無償でキャンセルが可能です。

(2)クレジット支払いで審査に落ちたケース

上記と関連しますが、クレジット支払いで審査に落ちた場合でもキャンセル料はかかりません。頭金等を既に支払っていた場合でも返金されます。

(3)(4)キャンセルできるケースと同様のケース

以下、上記キャンセルできるケースと同様のものです。

(3)未成年で親の許可なく契約したケース

キャンセルが可能な例でも記載しましたが、購入者が未成年で、親の許可なく契約した場合はキャンセル料はかかりません。

(4)不当な情報を元に中古車を購入させられたケース

こちらも上記のキャンセルできるケースと同様です。事故車(修復歴車)であることを隠して販売された場合、駆動方式(4WD・FFなど)車のスペックを不当に偽って販売された場合などはキャンセル料はかかりません。

(5)全額現金支払いで、整備・加修など行っておらず販売店に実損がない場合

全額現金前払いで、販売店に対して整備・加修・改造などの依頼をしておらず、納品整備なども販売店が行っていない場合は、実質販売店に損害がないことになりキャンセル料はかかりません。

この「実損」がないことというのが重要で、この後お話しする、キャンセル料が正当であるかを判断するポイントにもかかわってきます。

キャンセル料が正当かどうかの判断基準

上記で、キャンセル料がかからない場合についてお伝えしましたが、キャンセル料の相場はどれだけなのか、また、正当なキャンセル料であるかを判断する基準をお伝えします。

中古車販売店のキャンセル料相場は「車両本体価格の10%」

これは複数の中古車販売店にも確認しておりますが、キャンセル料の相場は「車両本体価格の10%」ほどとされています。
しかしながら、これは法的な根拠がある訳ではありません。ある意味、販売店のさじ加減になります。

「消費者契約法」第9条では、「購入者側からの一方的(合意がない)キャンセルの場合、販売者側の実損分を負担することでキャンセルが可能になる」と定められています。

第9条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。

1.当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分

この場合の実損とは、たとえば以下のようなものです。

  • 名義変更手続きの費用(販売店がさらに業者に発注していることもある)
  • 納品のための車両整備・加修の費用

販売店の実損以上のキャンセル料は不当

たとえ車両が変わっても、名義変更などの手続き費用や、整備費用は大きく変わることはありません。

50万円の中古車のキャンセル料が5万円と、極端ですが400万円の中古車のキャンセル料が40万円というのは不可思議な話であることはご理解いただけると思います。

下記のように「明らかに販売店の実損分を超過する」キャンセル料は負担する必要がありません。また、販売店によっては「この契約とキャンセルがなければ他のお客さんに売るチャンスがあったのに」などと、損害を主張されることがあるかもしれません。

しかし、上記の消費者契約法では契約キャンセルによる販売者側の販売機会損失は購入者が負担しなくて良いことになっています。

キャンセル料が不当な場合・キャンセルに応じられない場合の対策

消費者生活センターに相談する場合は理論武装を

よく販売店とキャンセルの件でトラブルになった場合は「消費者生活センター」に相談しようと言われます。
しかし筆者の見解では何の準備もなく、消費者生活センターに相談・訴えてもキャンセルを押し通すのは難しいでしょう。

中古車販売店のオーナーとしても「消費者生活センターに訴えるぞ」と盾にしてくるユーザーは少なくなく、それだけで揺さぶりをかけるとか、キャンセルに応じない姿勢を覆すのは困難です。消費者生活センターに相談する前に、上記お伝えしたような

  • キャンセル料が不当にかかっていると思われる事実
  • キャンセルできる事例に当てはまっている事実
  • キャンセル料がかからない事例に当てはまっている事実

を整理することで、適切な対応・返答を受けることができますし、交渉を有利に進められます。

漠然とキャンセルしたいのに応じてくれない…と投げ掛けても、それ相応の返答しか得られないので注意が必要です。

まとめ

いかがでしたか。今回の記事では中古車契約をキャンセルしたい方に向けて、中古車契約の基礎知識と、キャンセルできるケースの事例・不当にキャンセル料を取られないための対策をお伝えしました。

最初にお伝えした通り、キャンセル料が発生するかどうか・キャンセルが可能なタイミングかは1日ずれると変わることがあります。

現在、キャンセルできるかどうか?と悩んでいて販売店に連絡していない方は、今回お伝えした内容を踏まえた上で、販売店に急ぎ連絡をしましょう。

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