中古車の記録簿は必要?点検記録の実情と中古車選びを徹底解説

中古車の記録簿は必要?点検記録の実情と中古車選びを徹底解説
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気になっている中古車に「点検記録簿」がなかった場合などに「点検記録簿のない中古車って大丈夫?」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。結論から言って、点検記録簿がないからといって、必ず問題がある中古車というわけではありません。

しかし、点検記録簿がないケースや、記録簿がない場合のリスクを知ることで、より安全に中古車を選ぶことができます。今回の記事では、中古車の点検記録簿の実態と、点検記録簿なしの中古車について詳しくお伝えします。ぜひ参考にしてください。

中古車記録簿とは何か

中古車点検記録簿(定期点検整備記録簿・分解整備記録簿ともいう)は、12ヶ月点検・24ヶ月点検といった法定点検の際に、工場が整備内容を記録するものです。

点検記録簿

過去にどのような整備が行われたか、整備履歴などを確認することができるため、中古車を購入する際にはその有無を気にする方も多いと思います。

しかし、中古車の中には点検記録簿がない車両も多くあります。記録簿がない理由や、記録簿なしの中古車にはどんなリスクがあるのかを以下で詳しくお伝えします。

点検記録簿が存在しない4つのケース

中古車に点検記録簿が存在しないケースには、以下の4つが存在します。

1.国から認証を受けた工場で点検していないケース

実は、点検記録簿を発行することが出来る工場・整備施設は限られています。「分解整備」と呼ばれる、解体・内部点検を伴う整備が公式に行える工場かどうかがこの分かれ目です。

以下にご紹介する3種類の工場のうち、指定工場と認証工場でしか記録簿を発行することができません。ちなみに上から順に、設備規模が大きくなっています。

指定工場

ディーラーの工場と、民間車検場がこれに当たります。国から指定された工場ですので、もっとも権威・設備力のある工場といえます。ここでは、ブレーキを解体して点検したり、エンジンを調整したり、足回りの精細な検査といった、「分解整備」が行えるため、点検記録簿を発行することが可能です。

ちなみに民間車検場は、陸運局の施設と同じ施設があることでも知られており、排気ガスチェックや、ブレーキチェック、ライトの光軸(光が上下左右にぶれていないか)点検まで行うことができます。

参考までに金額の話をすると、指定工場の認可を得るためには、設備投資と申請費で、一千万~数千万円はかかるとされます。一般の工場で容易に取得できる認可ではないことが分かると思います。

認証工場

国から認証を受けた整備工場や、同様に認証を受けたスタンドがこれにあたります。ここでも分解整備を行うことができ、記録簿の発行が可能です。

こちらも、設備投資費と申請費で数百万円の費用がかかります。公的な規定では、点検記録簿が発行できるのは、上記の指定工場とこの認証工場のみです。

一般の整備工場

国から認証を受けていない一般の整備工場で、ここでは分解整備・点検記録簿の発行が行えません。

これら3種類の工場のうち、「一般の整備工場」に持ち込んで法定点検を行った場合は、点検記録簿がないという状況が起こります。しかし、実際にはこれら一般の整備工場でも、非公式に点検記録簿を発行しているという実情があります。

たとえば、筆者がいくつかの中古車販売店の協力を得て実際の記録簿を確認したところ、認証を受けていないと思われる(工場名・企業名の正確な記載がない)記録簿を確認しています。

詳しくは後述しますが、これが点検記録簿自体の効力や信頼性が弱まっている要因のひとつです。

2.販売業者が破棄するケース

これは昨今ではほぼなくなったケースと考えていますが、走行距離改ざんなどの形跡を隠すために販売業者が記録簿を破棄するケースです。10年以上前は少なくなかったこのケースですが、

  • 業界全体で走行距離改ざん・メーター戻しを撲滅しようという動きが活発化
  • 過去2回の車検時の走行距離を車検証に記載することが義務づけられた
  • オートオークション会場も独自に走行距離情報を管理するようになった

これらが起こった結果、走行距離改ざん自体はゼロに近い実情となり、それが理由となる点検記録簿破棄もほぼなくなったと考えています。現在では気にする必要はないでしょう。

3.使用者が紛失したケース

傾向として、中古車でも高級車ほど点検記録簿が残っている場合が多くあります。頻繁にメンテナンスをしていた、費用をかけて正しい整備をしていることが多いためです。

それに比べると国産車の古い車、大衆車は点検記録簿を紛失してしまうケースも多くあります。筆者の見解では、200万円以下の国産車では安くなるほど記録簿がないという事象が起こります。

4.法定点検/整備自体を行っていないケース

実は、法定点検・整備を行わなくても車検を通すことができます。ユーザー車検(ユーザー自身が運輸支局で車検を受ける方法)が実現していることからも、それが分かると思います。

民間車検場で車検を受ける場合でも、いわゆる「後整備」と言われるように「後日法定整備をする予定」だと申告することで、車検が通るケースも多いのです。結果、そのまま点検整備自体を行わないこともあります。この場合は点検記録簿は当然存在しません。

以上が、点検記録簿が存在しない4つのケースです。ここまでの話を総合して、点検記録簿がない場合のデメリットの見解をお伝えします。

点検記録簿がない場合のデメリット

ここまでの内容を踏まえて、点検記録簿がないデメリットは以下の2つが挙げられます。

1.法定整備を行っていない可能性がある

単純に法定整備を行っていない場合、メンテナンスもおざなりになっている可能性もあります。法定整備を行っている=必ず安心というわけではないですが、整備段階で発覚する不具合もスルーされていることが考えられます。

2.一般工場で整備・点検された可能性がある

とはいっても、前述のように「たとえ点検記録簿がある場合でも、国の認可を受けていない工場の可能性」があります。国が定めた点検記録簿の発行水準が現状では守られずあいまいになっているため、点検記録簿がある場合でも「整備を受けた事実」しか確信は持てません。点検記録簿の有無だけで中古車の安心感はあまり変わらないというのが筆者の考えです。

点検記録簿がある場合のメリット

点検記録簿の有無で、中古車の安心感には結びつきにくい、という見解をお伝えしましたが、販売店側からすると点検記録簿がある場合のメリットは存在します。

具体的には以下のようなものです。

点検記録簿がある場合のメリット

  • (販売店からすると)中古車が売りやすくなる
  • (購入者側からすると)安心して購入できる

高級車の場合は、設備の整った工場(指定工場・認証工場)に整備を出していることが多いため、点検記録簿も確実に残っている可能性が高いです。販売店からしても、販売する上での信頼の証や、高値の裏づけ(記録簿がついているしっかりした車だから高い)として、記録簿を活用します。

点検記録簿ありの中古車の探し方

実際に、中古車検索サイトで中古車を探す場合でも、点検記録簿の有無で絞り込むことが可能です。カーセンサーとグーネットを例に、具体的な方法をお伝えします。

まず、カーセンサーでの探し方をお伝えします。「トヨタ・ノア・埼玉県」のようにメーカー・車種とエリアまで絞り込んだ状態とします。下記が検索結果の画面ですが、左下「もっと詳細な条件」をクリックすると、詳細検索項目が開きます。

記録簿ありの検索方法:カーセンサー01

ここで、右側「定期点検記録簿」にチェックを入れます。「○○台検索する」ボタンの台数が変わりますので、そちらをクリックすると、点検記録簿ありの中古車を絞り込むことができます。

記録簿ありの検索方法:カーセンサー02

続いて、グーネットでの「ホンダ・ステップワゴン・愛知県」を条件に、メーカー・車種・エリアまで絞り込んだ状態とします。下記が検索結果の画面ですが、左下「もっと詳細な条件で絞り込む」をクリックすると、詳細検索項目が開きます。

記録簿ありの検索方法:Goo-net01

ここで、右側「記録簿あり」にチェックを入れます。「該当件数」の台数が変わりますので、「この条件で検索」をクリックすると、点検記録簿ありの中古車を絞り込むことができます。

記録簿ありの検索方法:Goo-net02

大事なのは中古車の状態を正確に把握すること

ここまで、点検記録簿の実情と、点検記録簿がない場合のデメリット・ある場合のメリットなどをお伝えしました。

しかし、前述したように、さまざまな事情から点検記録簿の信頼性は弱まりつつあります。購入者側からすると、点検記録簿があることによるメリットは「ないよりは安心できる」程度のものだと筆者は考えています。

点検記録簿の有無にこだわるよりも、この後でお伝えするような、中古車の状態を正確に把握すること・安全な中古車の選び方を知ることが中古車購入には大切です。

安全な中古車購入のための必要知識

中古車は、正しく選べば安全に動く車をお得に手に入れることができます。そのために必要な知識を以下でご紹介します。中古車の具体的なリスクと、その見抜き方・避け方が中心となります。

修復歴車/事故車のリスク

修復歴車とは、車の骨格(フレーム)にあたる部分に事故などで損傷を受け、修理した車のことで、事故車とも呼ばれます。相場より安くなっている中古車や激安価格の中古車にはよく見られます。筆者の見解では、修復歴のある車は選ぶべきではありません。

骨格部分の損傷は、後々想定外の不具合や故障につながる可能性があります。試乗で問題なく動いたとしても、その後どうなるかは分かりません。あなたが価格にこだわるとしても、希望の中古車が修復歴車であることが分かったら購入は控えましょう。

修復歴車を避けるための方法と見抜き方

現在では、修復歴のある中古車は車種情報に記載することが義務づけられています。中古車検索サイト等で探す場合は、はじめから修復歴なしの条件設定で探すのが良いでしょう。

またごく稀にですが、修復歴車にもかかわらず記載がない場合もあります。その場合は、現車確認の際に、バンパー等のボディの隙間が均一かどうかで見抜けることがあります。通常、ボディパーツの隙間は均一になっているものです。

ヘッドライトとボンネット、ヘッドライトとバンパーの隙間をチェックして、隙間が微妙に均一でなかったら、車体がゆがんでいる、つまり事故車である可能性があります。

どの部分の損傷が修復歴車となるのかの定義・修復歴車を避ける方法について「中古車の修復歴のリスクと安全な中古車を見分けるポイント」でより詳しくお話しています。ぜひ参考にしてください。

水没車のリスク

沿岸や河川地域などで水害を受けた車のことです。実は、水没車は修復歴車として扱われません。「修復歴なし」だとしても、水没車である可能性があるのです。水没車は電装系に異常をきたすケースが多く、連鎖的に各電装系が故障し、高額の修理費がかかることがあります。具体的に見抜く方法は以下のようなものがあります。

  • シートベルトを限界まで引き出してみて、泥のような染みのラインがある
  • 空調を切った状態で、車内から雑巾のような臭いがする

これに当てはまれば、水没車の可能性がありますので要注意です。

塩害車・雪害車のリスク

沿岸地域の潮風でダメージを受けた車を塩害車、積雪地域で雪によってダメージを受けた車のことを雪害車といいます。これらの車は共通して「錆」が問題です。フレーム部分や内部の重要部品が錆びてしまうと車の機能に支障が出ます。

判断基準としては、ボディの錆はコーティングで隠せることも多いので、エンジンルームなどの通常見ないポイントを見てみましょう。周りに比べて不自然に錆びていれば、塩害・雪害車である可能性があります。

結論として、上記のような兆候が見られたらその中古車を購入するのは控えましょう。その他、具体的な中古車のチェック項目については「中古車を購入する前にチェックするポイントを紹介」でより詳しくお話ししていますので参考にしてください。

まとめ

いかがでしたか。今回の記事では、中古車の記録簿の実態と、記録簿がない中古車、そして安全な中古車選びのための知識をお話ししました。くり返しになりますが、筆者としては記録簿の有無は昨今ではそこまで重要ではないと考えています。

もちろん、無いより有るに越したことはありませんが、あるからといってそれだけで安心できるものではないという事です。今回ご紹介したチェックポイントや注意点も活用して、安心できる中古車選びに役立ててください。

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